レントゲンを撮ったら犬の首輪が… 腰椎分離症

2023年10月30日 腰痛

腰をそらせたときに痛みが生じるという方は、腰椎分離症の症状に当てはまるか確認してはいかがでしょうか。腰椎分離症は、主に腰や尻、太ももが痛みやすく、何度も同じ箇所に負担をかけることで悪化するおそれがあります。

本記事では、腰椎分離症になりやすい年齢や、やってはいけないことをご紹介します。そのほか主な治療法もお伝えするので、腰椎分離症の症状が見られる方は、ぜひ参考にしてください。

腰椎分離症とは

腰椎分離症とは、腰椎の後方にある椎弓という部分が骨折している状態です。そもそも椎弓とは、犬の首輪のようなリング上になっています。椎弓は、椎骨の間にある椎間板が後ろに飛び出さないようにしたり、椎骨を後ろで支えたりする役割があります。

腰椎分離症が起こりやすい箇所は、第5腰椎が最も多いです。第5腰椎は、腰椎を上から5つに分けられたうちの1番下の部分を指します。腰椎のなかでは強い負担がかかる箇所なので、腰椎分離症が生じやすいといえます。

腰椎分離症の原因と症状

腰の痛みを訴えている方は、腰椎分離症の症状に当てはまるか、原因に心当たりがあるかを確認してみましょう。ここでは、腰椎分離症の原因や症状をご紹介します。

原因

腰椎分離症の原因は、腰を捻ったりジャンプしたりし、腰に負担をかけてしまうことです。腰への負担が強すぎると、割れた椎弓や新しく作られた骨が神経を刺激することで、痛みが生じます。

1度の動作で発症するのではなく、繰り返し負担がかかることで腰椎分離症になりやすいです。一般の方では約5%、スポーツ選手では約30%〜40%の方が腰椎分離症を発症しています。腰に負担をかけてしまう機会が多い方ほど、腰椎分離症を発症してしまうことがわかるでしょう。

症状

腰椎分離症は、主に腰や尻、太ももあたりに痛みが生じたり、痺れたりする症状が特徴です。通常時よりも、腰を反らしたり捻ったりしたときに強い痛みが生じやすいです。

しかし、腰椎分離症を発症した方全員が痛みを感じるとは限りません。子どものころに発症していた場合、大人になってから腰や太ももなどが痛み出すケースがあります。

また腰椎分離症を放置すると、椎弓が椎骨を支えられなくなって前に滑り出してしまい、腰椎分離滑り症に悪化するおそれがあるので注意しましょう。患部の痛みや痺れが増すだけではなく、場合によっては手術しなければいけないケースがあります。

腰椎分離症になりやすい年齢

腰椎分離症は、体育の授業や部活動などで活発に活動する、小学生高学年〜中学生の発症率が高いです。はじめは椎弓にヒビが入り、高校生〜大学生で椎弓が割れて、完全に分離してしまうケースがあります。

また腰椎分離症の発症率は、男女比2:1で男性のほうが高いです。柔道や体操などの腰を回す・捻る動作が多いもののほかに、バスケットボールやサッカー、ラグビー、ハンドボールなどの球技を行っている方も腰椎分離症になりやすいです。

腰椎分離症でやってはいけないこと

腰椎分離症の症状が見られるとき、やってはいけないことを確認しておきましょう。ここでは、腰椎分離症でやってはいけないことを3つご紹介します。

無理な運動やスポーツ

腰椎分離症になったら、無理な運動やスポーツを控えて、安静に過ごすことが大切です。腰椎分離症で激しい運動やスポーツをすると、疲労骨折している椎弓部分に大きな負担がかかってしまいます。結果的に症状が悪化し、治癒を遅らせてしまうでしょう。

腰椎分離症を早く完治したい場合は、骨を固定する期間を十分に設けることが重要です。部活動やスポーツに励んでいる方のなかには、焦って予定よりも早めに復帰しようとする方もいるでしょう。固定期間の途中で腰に負担をかけると、治療期間が伸びて、かえって復帰が遅れてしまいます。

また腰椎分離症の治療期間の目安は、約2か月〜6か月です。ただし、一人ひとりの栄養状態や年齢によって治療期間が異なるので、医師の指示にしたがって、激しい運動を控えておきましょう。

腰をひねるようなストレッチ

症状によっては、痛い部分をマッサージしたりストレッチしたりして、痛みが緩和されるケースがあります。ただし、腰椎分離症は椎弓が疲労骨折している状態なので、腰に負担をかけないことが大切です。

腰椎分離症の場合、腰を捻る・回すなどのストレッチをすると、かえって痛みが増してしまいます。そのため腰痛を訴えている方は、無理に腰を捻ったりせずに、病院やクリニックで指示してもらうとよいでしょう。

ただし、腰への負担を考慮するあまり、過剰に安静を心がけると、ほかの箇所の筋力が低下してしまうおそれがあります。病院やクリニックに通う場合は、腰以外の箇所のストレッチ方法を指導してもらうとよいでしょう。

コルセットの取り外し

腰椎分離症の治療では、骨折部分をコルセットでしっかり固定することが大切です。治療期間内にも関わらずコルセットを頻繁に取り外していると、なかなか骨が癒合せず治療が長引いてしまいます。

また、コルセットによる治療では、骨の癒合よりも先に痛みがなくなるケースがあります。痛みが消えたからといって、コルセットの装着をやめてしまうと、再び痛みが現れるおそれがあるでしょう。

ただし、病院やクリニックによっては、長期間のコルセット装着による筋力低下を防ぐために、コルセットを外して寝るように指導される場合があります。動いているときは、基本的にコルセットをつけるべきと認識しておくとよいでしょう。

腰椎分離症の主な治療法

腰椎分離症は、放置するとさらに症状が悪化するおそれがあるので、しっかり治療することが大切です。ここでは、腰椎分離症の主な治療法を2種類ご紹介します。

保存治療

腰椎分離症の保存治療では、コルセットで腰を固定して骨を癒合する治療を行います。腕や足を骨折した際、ギブスで固定して骨を癒合する治療法と同じです。医師の指示にしたがって、決められた期間はコルセットを装着し続けることで、外科的手術を行わずに完治が期待できます。

またコルセットによる治療と合わせて、腰への負担を考慮したストレッチを行うケースがあります。ジャックナイフストレッチが代表的であり、かがんだ状態で左右の足首を掴み、ゆっくり膝を伸ばして10秒間ほど保つストレッチです。

ただし、状態によっては骨がくっつかない場合があります。コルセットによる治療ではなく、消炎鎮痛剤を内服して痛みを緩和することを目的に治療を受けます。消炎鎮痛剤を飲んでも痛みが強い場合は、ブロック注射を行うケースがほとんどです。

手術治療

保存治療による完治が望めない場合、分離部修復手術という治療を行います。分離部修復手術を受けるには、偽関節になっていない、スポーツの早期復帰を望んでいるなどの方が対象となります。

分離部修復手術は、腰を1cm〜2cmほど切開し、骨にネジを1本または2本入れる手術です。切開部分が小さく、筋肉を温存できるため、入院期間が約3日〜7日間と短いです。

また偽関節になっている場合、外科的手術を行う際に筋肉を剥離する必要があります。別の箇所から新しい骨を採取して移植する手術内容となっており、ほとんどの場合が腸骨から新しい骨を採取します。

腰椎分離滑り症に進行している場合は、スクリューと椎体間ケージで腰椎後方椎体間固定術を行うケースが一般的です。腰椎分離症といっても、進行状態によって適した治療方法が異なるので、まずはレントゲンなどで状態を把握することが重要です。

腰痛Laboはちおうじの治療法

腰痛Laboはちおうじでは、筋スラッキング療法で体幹や腰まわりの筋肉のバランスを取るほか、カイロプラクティックのトムソンテクニックを用いて骨格矯正をします。ここでは、筋スラッキング療法とカイロプラクティックについて解説します。

筋スラッキング療法

腰椎分離症に対する筋スラッキング療法では、体幹や腰まわりの筋肉のバランスを取ることが目的です。ストッカーと呼ばれる超高速振動器具を使い、強く叩いたり揉んだりせずに振動でアプローチできるので、痛みを悪化させることなく筋肉をほぐせます。

ストッカーによる振動は、皮膚の表面から深い部分まで届きます。ストレッチやマッサージでは改善が見込めない箇所でも、筋スラッキング療法であれば改善が期待できる可能性があるでしょう。

また筋スラッキング療法は、腰椎分離症の治療だけではなく、肩こりや股関節の痛みなどに対しても行われるケースがあります。リンパや血液の流れを整える効果も期待できるので、腰痛以外のお悩みを抱えている方におすすめです。

カイロプラクティック

腰椎分離症に対するカイロプラクティックでは、専用のベッドを使って骨格矯正を行うことが目的です。治療に用いるベッドの頭、胸、腰、骨盤部分にはドロップ機能が備わっており、落下する力を活用して骨を矯正していきます。

カイロプラクティックは、体の歪んだパーツを元に戻すので、姿勢改善の効果も期待できます。骨盤を元の場所に戻したり、猫背を改善したりすることで、腰への負担が軽減され、腰椎分離症の予防にもつながるでしょう。

また、カイロプラクティックと整体の違いがわからないという方もいるでしょう。カイロプラクティックでは主に骨に着目した施術で、整体では主に筋肉に着目した施術を行います。さらに、睡眠や食事などの生活習慣の改善まで、カイロプラクティックの一環としてサポートします。

腰の痛みの代表例としては、ギックリ腰(筋筋膜性疼痛)が挙げられます。こちらの記事では、ギックリ腰の対処法と治療、再発予防について解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

腰椎分離症は、腰椎の後ろにある椎弓が疲労骨折している状態です。椎弓はリング状になっており、椎骨や椎間板を後ろから支える重要な役割を果たしています。椎弓の骨折を放っておくと、腰椎分離滑り症へと悪化するおそれがあるでしょう。

腰椎分離症を治すには、コルセットで一定期間固定したり、外科的手術を行ったりします。保存治療の場合、ただコルセットで固定するだけではなく、腰に負担がかからないストレッチを行うケースがあります。

腰痛Laboはちおうじでは、筋スラッキング療法やカイロプラクティックなど、腰椎分離症に適した施術メニューが豊富です。患者さん一人ひとりの症状に合った施術を提供しているので、体の不調や違和感など気になる箇所があれば、お気軽にご相談ください。