エースを狙ってテニスエルボー(外側上顆炎)

2023年9月29日 スポーツ障害

テニスをしていると、手首や腕が痛いと感じる場合があります。この痛みを通称「テニスエルボー」と呼ぶ場合があります。インパクトのある言葉ですが、実際の定義や原因については不明な点が多いと最初は感じるでしょう。

今回は、テニスエルボーかもしれないと感じている方向けに、テニスエルボーの定義や原因、治療法などをご紹介します。日ごろから自宅で行える対策についても解説していますので、最後までぜひご覧ください。

テニスエルボーとは

テニスエルボーとは、手首を伸ばしたり、曲げたりする筋肉への炎症を引き起こす病気のことを指します。テニスでショットを打つ際のひとつのフォームであるバックハンドでよく現れる症状であるため、この名前が付けられました。別名「上腕骨外側上顆炎」とも呼ばれています。

テニスエルボーといわれているものの、テニスをした際のみに引き起こされる病気とは限りません。たとえば、バドミントンやゴルフなど、ほかのスポーツでも発症する場合があります。

また、近年では日常生活でもテニスエルボーが生じやすくなっています。たとえば、PCのマウスやタブレットの操作時、家事の際に起こりやすいです。

テニスエルボーの原因と症状

筋肉や腱への炎症を起こすテニスエルボーに関する原因や症状を解説します。日常生活の中で心当たりがないか、確かめながらご覧ください。

原因

手首の伸筋群と呼ばれる筋肉やその腱、腱が骨に付着する部分への繰り返し過度な負担がかかることが、原因であるといわれています。伸筋群とは、手首を動かす際や指を伸ばす際に働きかける筋肉です。

テニスやバドミントンなどのスポーツ時や重い荷物を持つ際に、伸筋群へ少しずつ負荷がかかります。負荷が重なると、やがて伸筋群へ炎症を引き起こし、周辺の神経や血管にも悪影響を及ぼします。

テニスエルボーは幅広い年齢層で見られる病気ですが、とくに発症しやすい年齢は40代以降です。なぜなら、40代以降になると、筋肉のしなやかさが徐々になくなり、筋肉への負荷がかかりやすくなるためです。

また、筋力が弱い方も筋肉への負荷がかかりやすいため、日常動作でもテニスエルボーにかかる可能性があります。

症状

基本的には、何か動作を行ったときに症状が現れます。動作を行った際に現れる具体的な症状は、以下のとおりです。

●押すと痛みを感じる
●炎症を起こしている部分から熱を感じる
●二の腕から手にかけて痛みを感じる

シチュエーションとしては、スポーツをする際や日常生活のなかでよく症状が現れます。日常生活のなかでは、タオルや雑巾を絞った際や料理をしている際に苦痛を感じやすいです。

また、テニスエルボーは慢性化しやすい病気としても知られています。なぜなら、肘は日ごろから頻繁に使う部位であり、テニスエルボーを一度発症しても、なかなか治らない場合があるためです。症状が現れなくなったあと、スポーツを再開するとテニスエルボーが再発してしまうこともあります。

初期の段階では、安静にしているときは症状が現れません。しかし、放置していると安静時でも症状を感じるようになります。

テニスエルボーのチェック方法

テニスエルボーかどうかを、簡単にチェックできる方法を3つ紹介します。いずれも症状を誘発させる方法であり、外来で一般的に用いられているものです。すべての結果で陽性だった場合は、テニスエルボーであると診断されます。

トムゼンテスト

手をグーにして肘を伸ばした状態を保つ患者側に対し、検者側が手首を曲げるように力を加えます。このとき、患者側は検者側に対して抵抗します。

この際、肘の外側に痛みを感じたら検査結果は陽性です。

チェアテスト

患者側が肘を伸ばした状態でイスを持ち上げます。イスを持ち上げた際に、肘の外側に痛みを感じた場合、検査結果は陽性となります。

中指伸展テスト

患者側は肘から中指まで伸ばした状態にし、そこに検者が上から抵抗を与えます。その際、肘の外側に痛みを感じた場合、検査結果は陽性です。

テニスエルボーの腰痛Laboはちおうじでの治療法

テニスエルボーには、症状の具合に応じて、さまざまな治療法があります。今回は主な治療法を4つ紹介します。

基本的に、最初は手術をしない保存的治療が原則です。今回紹介する治療法は、すべて保存的治療です。実際の治療時は、医師やスタッフの方と相談しながら、再発予防を目指し、治療していきましょう。

筋スラッキング療法

筋スラッキング療法とは、1秒間に1,800回もの振動を発生させる電気器具を使用した治療法です。手技では、筋肉または関節のどちらかにアプローチが偏りがちになることに加え、深部の筋肉へ刺激を与えるには限界があります。

しかし、こうした電気器具を使うことで偏りなく、さらに筋肉の深部にまでアプローチできる点が大きな特徴です。叩いたり揉んだりなどの強い力をかけない治療法のため、施術中に痛みを感じることもありません。

治療の具体的内容は、電気器具の振動によって発生する波動を筋肉へ浸透させることです。この際、何層にも重なった筋膜に不必要な圧迫を加えずに波動を与えるため、筋膜がふっくらし、筋肉が収縮を繰り返すことで血流量も増加し、本来の身体機能を取り戻します。

血液やリンパ液などの循環不良を解消することで、痛みの鎮静や疲労物質の排出を促し、筋肉に柔軟性を与えるほか、関節のズレを正すなどの効果があり、あらゆる体の不調に対する改善が期待できるでしょう。

アイシング

アイシングとは、痛みや腫れを抑制するために、炎症を起こしている部分を氷で冷やすことです。テニスエルボーの際も、アイシングは有効な治療法です。

実際の方法としては、氷を袋に入れて患部を冷やします。また、場合によっては氷を直接患部に当て、濡れた患部をタオルで拭きとることを繰り返します。マッサージも併用して行うと、より効果的です。

ただし、テニスエルボーが慢性化している場合は、アイシングは逆効果になってしまいます。適切な治療を行うために、いつから不調が起きているのか十分に施術者へ伝えましょう。

また、アイシングは適切な方法で行えば有効な治療法ですが、保冷材やコールドスプレーを用いるなどの誤った方法では、皮膚表面のみが冷えるばかりで炎症部分の熱を逃がせず、効果が望めません。さらには凍傷の危険もあるため、注意が必要です。

こうした理由から、できるだけ自己判断でのアイシングは避け、整体院へ相談のうえ行うと確実でしょう。

超音波治療

超音波とは、耳では聞き取れないほどの音波振動のことです。具体的には16,000Hz以上の周波数のことを超音波と呼び、さまざまな医療機器に用いられています。

超音波治療の特徴として、痛みの緩和・解消、筋肉をはじめとする軟部組織の伸張性改善など、多くの効果が望める点と、発症したばかりの初期段階でも治療に用いることができる点です。

また、超音波治療では、テニスエルボーの原因の一部となる関節や腱に直接振動があたるため、回復につながっていることを実感しやすいでしょう。人間の手では届かない部分にまで超音波が行き届くため、回復への効果に期待できます。

場合によっては、超音波治療後に患部をストレッチするのもおすすめです。超音波によって、筋肉がやわらかくほぐれた状態になるため、より高い効果につながります。施術者の適切な判断のもとで行いましょう。

骨格矯正

テニスエルボーの最終的な原因には、骨格のズレが関係しています。そのため、骨格矯正もテニスエルボーの治療法のひとつです。

施術の流れとしては、一人ひとりの全身の骨格を確認し、体のポイントごとに適した施術を行っていきます。施術後は、再発防止のためのアドバイスまで行います。

骨格矯正はテニスエルボーの治療以外にも、体にさまざまなよい効果を与えます。たとえば、姿勢を正す効果によって、姿勢不良による筋肉の痛みや疲れの改善・不調の再発防止が見込めるほか、外見的にも姿勢のバランスが整い、より美しいスタイルをキープしやすくなるでしょう。

さらには、内臓を支えている骨の歪みが正されることで、内臓が正常な位置へと戻ります。これにより、慢性的な便秘やむくみ、冷え性、下腹部の膨らみの解消も期待できます。このように、骨格矯正はテニスエルボーの回復とともに、ほかの体の不調に対する改善にも効果的です。

キネシオテーピング

キネシオテーピングは自然療法のひとつであり、伸縮性のあるテープを貼ることで、皮下組織の血流を改善し、筋肉・筋膜の状態を改善して行きます。それにより、テニスエルボーによる炎症や痛みの軽減、施術効果を持続させることができます。

キネシオテーピングの大きな目的として、人体そのものが持つ自然治癒力の増強促進が挙げられます。用いられるキネシオテープは、皮膚および筋肉と同じ伸縮率で設計されており、人工的に筋肉を支えることで、現在弱ってしまっている筋肉の回復と強化を狙えます。

また、皮膚に直接貼り付けるものでありながらも、通気性に優れているため不快感が少なく、接着剤も工夫されていることから、かぶれにくくアレルギーも起こしにくい点も特徴です。1980年に考案されて以来、日本のみならず世界中で多くの実績を持っている治療法でもあります。

自身でできるテニスエルボーの対策方法

テニスエルボーの予防、または発症した際に役立つ対策を4つ紹介します。

とくに、テニスエルボーを発症している場合は、かえって逆効果になってしまう対策もあります。その場合は、患部の様子を気にかけながら実行しましょう。

安静期間を設ける

患部をなるべく動かさない安静期間を設けましょう。無理に患部を動かしてしまうと、症状が悪化してしまいます。具体的な対策としては、患部を動かす運動を控えるなど、日常生活においても患部に気をつけて生活をしましょう。

たとえば、テニスエルボーの場合は、タオルを絞る動作や重たいものを運ぶ際でも痛みを感じ、肘に負担がかかります。テニスエルボーが悪化しないよう、安静に過ごしましょう。

アイシングをする

アイシングは、正しい知識を持っていれば手軽にできる治療法です。患部に氷を当てて、一定時間冷やしましょう。方法としては、保冷剤または袋に氷を入れ、患部に当てます。目安時間とは、15分〜30分程度です。

熱が引いてきたら、アイシングを止めましょう。長時間冷やすと凍傷につながる場合があります。また、冷却に敏感な方や持病をもつ方なども、凍傷を引き起こす恐れがあります。

アイシングを行う前に、体質や持病による凍傷の恐れはないかを調べたうえで行いましょう。自己判断のみでは行わず、まずは専門家へ相談し、指示を仰ぐことが確実です。また、アイシング後は激しい運動は行わず、運動したい場合でもストレッチに留めておきましょう。

ストレッチをする

ストレッチを行うことで、テニスエルボー発症に対する予防や痛みの緩和といった効果が期待できます。

具体的には、肩から腕、手首に対してストレッチを行いましょう。たとえば、日ごろからできる予防策として、以下のようなストレッチがあります。

1. 手のひらを下に向けた状態で、肘を肩の高さまで伸ばす
2. 反対側の手で上げた方の手のひらを持ち、下に引っ張り、その状態で5秒キープする
3. 2を10回繰り返す

日ごろからのストレッチは、腕をよい状態へ保つ手段のひとつとなります。ただし、ストレッチ中に患部へ痛みが出る場合は、ストレッチが逆効果となっている可能性があります。その場合はすぐにストレッチを中断し、整体院を受診するなど、プロによる状況判断を仰ぎましょう。

マッサージをする

マッサージもテニスエルボーにとって、効果的な対策になります。とくに、アイシング後に行うのがおすすめです。マッサージすることで、テニスエルボーによって、硬くなった筋肉がやわらかくなり、筋肉への負荷や痛みが緩和される可能性が上がります。

テニスエルボーの場合、手の甲と肘へマッサージを行いましょう。手の甲へのマッサージは、手の甲の中心へマッサージします。手の甲の中心は、中指の延長線上にあります。手のひらに反対の手の人差し指と中指を当てながら、親指で手の甲を30秒〜1分程度マッサージしましょう。

肘へのマッサージは、肘を軽く曲げた際に盛り上がる部分へマッサージします。親指で支えながら、人差し指・中指・薬指でマッサージしましょう。この際、押し込むのではなく、軽く引くように筋肉を刺激させましょう。

ただし、マッサージ中に痛みが生じたときは直ちに中断し、専門家に状態を確認してもらうことが確実です。

テニスエルボーとは別に、突然痛みが走るぎっくり腰を経験した方もいるのではないでしょうか。ぎっくり腰について、こちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

今回は、テニスエルボーの定義や治療法について紹介しました。

テニスエルボーは、手首の酷使により引き起こされる筋肉の炎症であり、筋スラッキング療法やアイシングなどで治療を行います。テニスエルボーになった際は、基本的に安静にすることが大切です。

テニスエルボーになった際に、ご自身でできる対策を行うのも一つですが、自身で行うのは手間や時間がかかります。そして自身で行う対策には限界もあり、効率的に改善していくには第三者の施術を受けることが重要です。

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