どこから出ますか?胸郭出口症候群(TOS)

2023年9月29日 神経障害

胸郭出口症候群は、腕をあげたり、手先を使ったりする動作で、しびれや痛みが出る症状の総称です。放置してしまうと、日常生活に支障が出ることもあり、早期発見・早期治療が重要です。

今回は胸郭出口症候群となってしまう理由や症状の確認方法、治療法と対策について紹介していますので「胸郭出口症候群かも」と思う人は参考にしてください。

胸郭出口症候群とは

胸郭出口症候群とは、洗濯物を干すときや長時間のパソコンやスマホ操作など、腕を上にあげたり、悪い姿勢の状態が続いたりすることで、肘から先の前腕部、とくに小指側にしびれや痛みが生じる現象です。腕や手先など、手を使う動作に伴う重要な神経や血管が、胸郭出口という狭い空間で圧迫されることで、痛みやしびれが生じます。

胸郭出口症候群となる前段階で、肩こりや手のしびれなどの症状がでる現象の総称として、頚肩腕症候群と呼ばれることもあります。

胸郭出口症候群の原因や症状

胸郭出口症候群となってしまう原因や日常生活上で支障となる症状について紹介します。

原因

手や腕の感覚をコントロールする神経は、腕神経叢と呼ばれる神経の束が、鎖骨下動脈と鎖骨下静脈という太い血管と一緒に存在しています。腕神経叢と鎖骨下動静脈は、狭い空間をとおり、この部位に神経や血管が物理的に引っかかることや圧迫されることで、胸郭出口症候群の原因となります。

胸郭出口の狭窄部位としては3つ存在します。

・斜角筋症候群:首の筋肉を構成する「前斜角筋」と「中斜角筋」の間
・小胸筋症候群:胸の筋肉を構成する「小胸筋」と肩甲骨の間
・肋鎖症候群:鎖骨と肋骨の間

絞めつけられる部位によって呼び名が細分化されており、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)といい、その部位を総称して胸郭出口症候群と呼ばれます。胸郭出口症候群を発生する要因として、長時間悪い姿勢で座ることや睡眠不足、ストレスといった生活スタイルが原因と考えられています。

胸郭出口症候群は原因により型が決まっており、神経が圧迫されるものを神経性、血管が圧迫されるのを血管性と分けられています。

症状

胸郭出口症候群の症状は、神経性と血管性で異なります。

神経性の場合、最も多い症状はしびれです。首や肩甲骨、肩から手先にかけてのしびれが出現します。また、痛みを伴うものや腕の脱力感、握力低下が出現する症状です。腕を上げるときや、腕を下げて重い物を持ったときにこれらの症状が出現し、場合によっては悪化します。

血管性の場合は、手先の冷たさや血色不良、むくみなどの循環不良による症状や、腕を上げると痛みが主な症状です。神経と血管のどちらも圧迫されていると、これら2つの症状が混合して出る可能性もあります。

完治までの期間

胸郭出口症候群の完治までの期間は神経や血管の圧迫の程度によって変わるため、個人差はありますが、2か月から3か月が一般的です。

症状が軽い場合は、保存的治療を選択します。原因となる動作やスポーツを休み、内服薬や注射などで症状改善を目指します。

痛みやしびれが強く、手術が適応となる場合は、手術前後の入院期間やリハビリ、仕事やスポーツへの復帰までの期間が必要です。そのため、手術となった場合は数か月〜1年が目安です。

胸郭出口症候群のチェック方法

自分が胸郭出口症候群かどうかを、簡易的にチェックする誘発テストがあります。方法は2つあり、それぞれ「ルーステスト」と「モーレーテスト」と呼びます。

簡単に確認ができるため、思い当たる症状がある人はこのテストを行なってみましょう。

ルーステスト

ルーステストは自分で手を動かしてしびれの有無を確認するテストです。

・肩を上げる
・胸を張って肘を90度曲げた状態にする
・手をグーパーする

胸郭出口症候群の場合、この動作をすることでしびれが出たり、腕が重だるくなったりします。ルーステストにより、しびれなどの神経障害が出現し、腕を下ろすことで症状が楽になる現象が続けば、胸郭出口症候群の可能性が高いです。

モーレーテスト

モーレーテストは鎖骨のくぼみがある部分を叩くことで胸郭出口症候群の可能性を確認する方法です。肩から腕の方にかけてしびれが広がるような感じや、痛みや違和感が生じることで、神経の圧迫が考えられます。

痛みが強く出るほど胸郭出口症候群の可能性が高いです。しかし、この2つは簡易的な確認方法であり、頸椎ヘルニアなど、ほかの原因でしびれや痛みが生じる場合でも、胸郭出口症候群と疑われる症状が出る可能性があります。

実際に胸郭出口症候群と診断するときには、超音波やCTを用いて血管の圧迫や鎖骨と第一肋骨の狭さを評価します。最終的に医師の診察によって、症状と画像判断を合わせた結果により診断となるため、しびれや痛みが出現し不安に思う人は、一度整形外科への受診をおすすめします。

胸郭出口症候群の治療法

胸郭出口症候群は、突然の手のしびれや痛みといった症状に驚くでしょう。悪い姿勢やスマホの長時間使用などで発症する胸郭出口症候群にも、治療法があります。

腰痛Laboはちおうじでは、筋スラッキング療法と骨格矯正で姿勢を改善し、首への負担を軽減します。そしてEMSで背中の筋肉が姿勢を支えられるようにしていきます。

筋スラッキング療法

筋スラッキング療法は、筋肉・筋膜や腱に対してアプローチをする治療法です。スラッキング療法は電気機器を使用し、1秒間に1,800回という超高速振動による波動を利用して、皮膚に不必要な圧迫を加えることなく、目的とする深い部分に直接アプローチします。

筋スラッキング療法を用いて筋肉・筋膜や腱に対してアプローチすることで、血液やリンパ液、間質液など体液の循環が促されます。筋血流量が増えることにより、発痛物質や疲労物質など、筋肉に蓄積された不要物質が押し流され、炎症が治る効果があります。

また、筋肉・筋膜を最良の状態に戻すことで、崩れた姿勢や脊柱をよい姿勢で保つことができるため、姿勢を矯正する効果も期待できます。このように、筋スラッキング療法は、人体がもともと持っている自己回復力の活性化を図ることもできる治療法です。

筋スラッキング療法は専用機器を用いた治療法のため、施術者による偏りがない点も信頼性の高いポイントといえるでしょう。人の手技のみではアプローチできない、深部の筋肉の不調も改善できます。

骨格矯正

胸郭出口症候群は、悪い姿勢が続いてしまうことでしびれや痛みが起こります。そのため、骨格矯正を行うことによって、症状を改善する効果が期待できます。

骨格矯正は、骨格の傾きや左右のバランスの崩れ、歪みを矯正する治療法です。猫背など悪い姿勢によって固まった筋肉をほぐし、骨格の位置を整えます。

悪い姿勢によって固まった姿勢をほぐすことで、正しい姿勢を保つことができるため、関節や筋肉の負担が減り、疲労感を軽減することが可能です。胸郭出口症候群では、肩周りの筋肉の緊張が高いことで神経や血管を圧迫しますが、肩や腰まわりの緊張もほぐれるため、肩こり・腰痛の改善も期待できます。

また、内臓を支える骨盤の歪みや姿勢のバランスを整えられるため、便秘や冷え性、むくみ、生理痛の改善、ぽっこりと出た下腹部にも効果的です。

よい姿勢を維持することにより、外見的な美しさが向上するだけでなく、太りにくく疲れにくい身体への体質改善効果や、身体がリラックスすることで精神的な安定にもつながるなど、多くのメリットがあります。

EMS

胸郭出口症候群を引き起こす要因として、インナーマッスルの低下による姿勢不良も考えられます。自分では鍛えにくいインナーマッスルのトレーニングに効果的なのが、EMSと呼ばれる「電気的筋肉刺激(Electrical Muscle Stimulation)」を用いた筋肉トレーニング法です。

筋収縮は、通常であれば脳からの電気刺激を通じて起こります。このEMSでは、機器によって直接狙った筋肉に電気刺激を与えることで、部分的な筋肉運動を実現しています。

これによってインナーマッスルを鍛え、姿勢不良を解消に導くとともに、基礎代謝を高めて身体機能の安定を図ります。EMSで根本的な原因を解決することで、痛みや痺れなどが再発しにくい身体を目指せるでしょう。

また、施術中は横になっているだけでよいため、疲労を感じにくい点が大きなメリットとして挙げられます。膝や腰に痛みのある方や、全身運動の難しい高齢者でも取り入れやすい筋肉トレーニング法です。

胸郭出口症候群の対策方法

胸郭出口症候群は、神経や血管の圧迫によって、痛みやしびれを引き起こしますが、首や肩まわりの柔らかさを保つことで、圧迫や引っ張られることを防げます。

ストレッチをする

首周りの筋肉を柔らかく保つためには、ストレッチをすることが効果的です。単に首を動かすことも予防にはなりますが、首を上下方向・左右方向にそれぞれ10秒ずつ、首周りの筋肉をほぐすことを意識して動かすことにより、ストレッチできます。

普段は意識していない状態でも、身体を動かすことで、筋肉の張りを感じるのであれば、いつも首周りの筋肉の緊張が高い状態です。在宅勤務や普段からデスクワークが多い人は、休憩の合間にストレッチを挟むなど、日常のなかで取り入れることで予防効果が期待できます。

また、自力でのストレッチが困難な場合は、整体院に相談してみましょう。先述の筋スラッキング療法やEMSなど、さまざまな施術法を用いて、筋肉への直接的なアプローチが可能です。

疲労を感じたら十分に休息を取る

腕や肩に負担をかけないことが第一である胸郭出口症候群は、疲労なども影響を受けます。疲労を感じるときには、肩や腰まわりの筋肉の緊張も高い状態が続いていることが多いです。そのため、疲労感を感じるときには十分に休息を取り、疲労を溜めないことが大切です。

休息をとるなら、ゆっくり湯船に浸かり、寝る時間を確保しましょう。湯船に浸かることで、血液循環が促され、副交感神経が優位になるので心身的にリラックスできるほか、安眠効果もあります。こうしたセルフケアが胸郭出口症候群の予防につながるでしょう。

しかし、多忙な現代人のなかには常に疲労やストレスにさらされ続けているケースも多く、慢性疲労ともなると、自力のみでの解決や予防は困難を極めます。セルフケアでは上手に疲れが取れないと感じたときは、専門家による治療を受けてみましょう。

寝るときの姿勢に気を付ける

胸郭出口症候群では、首や腕に負担がかかることで痛みやしびれにつながります。そのため、負担にならない姿勢を心がけることで、症状の悪化を防げます。

首や腕に負担をかけない3つの工夫について紹介していきます。

・枕の高さを調節する
・首が浮かないようにタオルや枕を調節する
・横向きのときは抱き枕を使う

高さが合わない枕は、首に負担をかけてしまう原因になります。寝ている姿勢で首や肩周りの緊張が高いと感じるのであれば、タオルやクッションで調節しましょう。

また、枕の位置は適切だけど首が浮いてしまう姿勢になることがあります。寝ている姿勢で首が浮いてしまうと、負担がかかり筋肉の緊張が高まってしまいます。

首の下の空間もタオルなどで調節して浮かないようにすることで、首まわりの柔らかさを保つことが可能です。寝返りやスマホ操作などで横に向く場合、腕が引っ張られてしまい、首まわりの痛みにつながる場合があるため、抱き枕などで腕を支えることにより、症状の悪化を防げます。

めまいや吐き気などの不調がある場合、メニエール病かもしれません。メニエール病の原因や症状について、こちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

胸郭出口症候群は、胸郭出口と呼ばれる神経や血管が集まっている部位が圧迫や引っ張られることで、腕の痛みやしびれ、冷感の原因になる総称です。

しびれや痛みが強い状態のままになってしまうと、パソコンやスマホを操作するときや、重いものを持つときなど、日常生活上から支障が出てしまうため、早期発見・早期治療が重要となります。

しかし、痛みやしびれなどの症状が続くようであれば、腰痛Laboはちおうじで行なっている筋スラッキング療法と、骨格矯正により症状を改善できます。一人ひとりに合わせた施術を用意しているため、胸郭出口症候群でお困りの場合は、ぜひ腰痛Laboはちおうじにご相談ください。